Webサイトを通して顧客とのやり取りをする際に、企業が何度も重要な個人情報を要求してきたら、顧客はそれだけで苛立ってしまうのではないでしょうか?いらだつ体験をした消費者は、その企業の製品やサービスを利用しなくなり、カスタマージャーニー全体に悪影響を及ぼし、その結果、企業は販売に支障をきたします。

マーケターはこのような顧客体験における失敗をきちんと把握しているでしょうか? セールスフォース・ドットコムによると、マーケターがデジタルジャーニーを提供するために使用しているデータソース数は、2019年にすでに多かった8ソースから、2021年には12ソースに増加しています。これは活用できる情報が増加していることを示しており、企業はこれらの顧客データソースを管理することが必要だということです。

データはあらゆるところに存在し、顧客との様々なやり取りを通じて生み出されます。データの利用価値は幅広く、多くのチームが異なる目的でアクセスします。顧客のデータは、広告ターゲティングに用いられる時もあれば、営業やカスタマーサービスの担当者が活用する時もあります。現代の大手企業は、さまざまなチャネルやタッチポイントにわたってパーソナライズされた体験を提供することで、顧客のデータから価値を引き出しています。

情報は不足しているどころかあふれています。データもっとうまく活用できるはずです。

マーケターはデータを有効活用し、顧客が期待する、シームレスで高度にパーソナライズされた体験を提供する必要があります。テクノロジーを組み合わせて、統合された精度の高い顧客データベースを構築し、チームとシステムにとって「唯一の信頼できる情報源」として利用できるようにすることが求められています。

本当に優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、Webサイト以外の、顧客のすべてのタッチポイントにおける顧客とのやり取りを含む顧客データにアクセスする必要があります。精度の高いカスタマーデータプラットフォーム(CDP)を導入することで、企業はオンライン、オフライン、対面のすべてを通してオムニチャネルで最適なエクスペリエンスを提供できるようになります。

米国の調査では、現時点でCDPを導入予定であると回答している企業は51%にとどまります。これらの企業は導入後も上手に活用できるのか不安を持っています。他社と比較して遅れを取らないように取り組んでいる中、CDPを正しく活用すれば大きな競争優位性を得られるでしょう。

データギャップの解決と単一の顧客ビューの必要性

企業がすでに把握しているはずの情報を繰り返し伝えたい消費者はいません。例えば、顧客が店舗のポイントプログラムに登録している場合、獲得したポイントを使ってスムーズに買い物ができることを期待するでしょう。また、医療機関や通信事業者などのサービス事業者に対して、消費者は自分のニーズと利用状況に基づいて最適なサービスが提供されることを期待しています。企業は顧客とやり取りするたびに彼らの利用履歴を辿る必要はないはずです。しかし実際にはオンラインとオフラインでは収集するデータの取り扱い方法が違うことがあり、「データギャップ」が生じていることがあります。実店舗(もう一つのチャネルと見なすべき)の従業員は、自社のデジタルインフラと繋がっておらず、顧客情報を検索するために端末やモバイルデバイスに依存しています。

対面でのやりとりがデジタルと同じようにスムーズとなるように、CDPは従業員のデバイスにリアルタイムでデータを送信する必要があります。また、彼らに適切なアクセス権が付与され、現場での取り扱いが容易で、直感的に使用できるものであることが大切です。

営業担当チームとカスタマーサービス担当チームにとっては、ビジネスの目標を達成するために、タッチポイントにかかわらず顧客のニーズと行動を予想できるシステムが必要です。

CDPの導入する際に注意すべき点は、ひとりの顧客に関する複数のプロファイルやデータが存在していたら、それを統合整理するということです。顧客の氏名ごとに単一の記録が作成されるようにCDPを整備する必要があります。顧客とのやりとりの仕方にかかわらず、データギャップを解消し、一貫性のある、効果的なオムニチャネルエクスペリエンスを提供できるようになります。

CDPを導入したら、次のステップとして、パーソナライゼーション、レコメンデーション、ディシジョニング(判断最適化)・エンジンを駆使して、最適なカスタマーエクスペリエンスを提供できるように設計します。

パーソナライゼーションを改良するには

カスタマーエクスペリエンスにおける「パーソナライゼーション」はマーケティングにおける強力な機能です。近い将来、より動的なアプローチを採用することになります。

今後はマーケティングチームの仮説に頼るのではなく、顧客自身にパーソナライゼーションを導いてもらうことになります。これこそ、「ディシジョニング」というものです。顧客が関連性の高い有益なコンテンツを通じて、自分が進む道を構築することです。顧客は選択するだけで良く、それがCDPに登録されて、パーソナライゼーションの方向付けに活用されます。

Sitecoreは、「Sitecore CDP」を提供しています。Sitecoreのソリューションは、あらゆるCDPに必要なデータの取得と統合を行うだけでなく、そのデータを活用するための、ディシジョニング、テスト、パーソナライゼーションという重要な機能を兼ね備えています。

このようなCDPによって、他のツールでは出来ない「ディシジョニング」が可能になります。Sitecore CDPに搭載されているディシジョニング機能は、ルールと予測分析を用いて、エンゲージメントの準備が整った顧客に関して精度の高いディシジョニングを行うことができます。Sitecore CDPは、カスタマイズされたオファー、値引き、単純なプッシュ通知、あるいはWebサイトのコンテンツのいずれかにかかわらず、ソースから直接取得したインサイトを活用し、次なる最善の体験の創出を支援します。

オムニチャネルを通じて魅力的なカスタマーエクスペリエンスを提供

企業は顧客に対して一貫性のある、魅力的なオムニチャネルエクスペリエンスの提供を目指すべきであり、CDPはそれを達成する上で、主要な役割を果たすようになるでしょう。

企業は自社が導入しているCDPが、単一の顧客ビューを提供できているか、必要とする人がデータを利用できているか、効果的なディシジョニングによってマーケターがメッセージを訴求できているかを確認することが重要です。

Sitecore CDPとエキスパートサポートによって、企業は保有する顧客データの潜在能力を引き出すことが可能です。詳しくは、Sitecore CDPの迅速な機能ナレッジセンターをご参照ください。

Jill Grozalsky Roberson is the Product Marketing Director at Sitecore. Connect with her on LinkedIn.