1654年、ロンドンのコベントガーデンに青果市場が開場しました。その後、青果市場は移転し、その跡地の都市再生と歴史的遺産の保全は世界的な成功事例となりました。ロンドンから約1万キロ離れた中国のデベロッパーが今、コベントガーデンの事例から上海の文化遺産を守る方法を学ぼうとしています。

アーバンランド・インスティテュート(ULI)は、Sitecoreのテクノロジーを活用して構築したWebサイト「Knowledge Finder」において、コベントガーデンの例のみならず、数多くの成功事例を紹介し、世界中に共有しています。ULIは、重要な遺産の保全と跡地再生との調和など、土地活用における複雑な問題を解決するために、テクノロジーを活用して知識や地理的なギャップを埋め、実際の体験、ベストプラクティス、教訓、提言を共有し、世界中のコミュニティが互いに学び合えるよう支援しています。

例えば、水害に見舞われた都市が具体的にどのように克服したのかを知るには、アムステルダムが数世紀にわたり行ってきた取り組みを参照することができます。そうしたケーススタディを現状に照らし合わせることで、洪水が発生しやすい米国の都市や、洪水被害が増えている欧州やアジアのさまざまな地域は、適切な教訓を得ることができるのです。

失敗と教訓

「Lessons learned; mistakes made(失敗と教訓)」は、人々が暮らし、働き、遊び、楽しむことができる都市環境を実現するためにULIが行う取り組みを表現しています。ワシントンに本拠地を置くULIは、教育と研究に携わるグローバルな非営利団体であり、世界80カ国のデベロッパーやエンジニア、建築家、弁護士、投資家など、4万5,000人以上の会員を擁しています。

ULIは、官民セクターにおける不動産および土地活用の専門家から成り、世界で最も長い歴史と最大のネットワークを有します。ULIの使命は、世界中のコミュニティに変革をもたらす環境を構築することです。そのためには、会員間の知識と経験の共有とそのレベルアップを図れるようにすることが極めて重要です。知識とベストプラクティスの共有を強化すべく、SitecoreとそのビジネスパートナーであるVelirに協力を求めました。

気候、住宅、未来の専門家への投資

ULIは3つの重要課題に取り組んでおり、Sitecoreのテクノロジーは、ULIの認知度向上、関連コンテンツの集約、会員との知識共有において役立っています。課題の1つ目は、都市の脱炭素化とネットゼロの都市環境に向けた前進です。2つ目は、ULIの定款にもある、手頃な価格の住宅の提供です。3つ目は、次世代の不動産専門家の教育と育成に多様性、公平性、包括性を取り入れることです。

これらの課題に加えて、他の多くの重要な問題にも取り組むには多大な労力を要します。そのため、Sitecoreのようなテクノロジーの活用が欠かせません。業界をリードするデジタルプラットフォームを導入することで、「インフラと住宅への公平な投資」や「不動産テックによる不動産への取り組みの変革」などのレポート、「ブロードバンドと不動産」に関するウェビナーなど、関連コンテンツを共有できるようになりました。

1万以上のコンテンツアセットを集約し、パーソナライズする

ULIは、書籍、ケーススタディ、講演、ポッドキャスト、レポート、動画、バーチャルツアー、ウェビナーなど、1万ものアセットで幅広いコンテンツを有しています。これまで、そうしたリソースの多くはデジタル化されておらず、100以上のWebプロパティに散在していたため、関連性のある情報を見つけるのが困難でした。そこでSitecoreを導入し、直感的で拡張性に優れた、楽しめる検索・閲覧体験ができるデジタルプラットフォームを構築しました。現在6カ国語(英語、日本語、中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語)で閲覧できるKnowledge Finderは、世界中の会員に不動産開発や融資の動向、ベストプラクティスなどの実用的な情報を提供し、会員の意思決定や成功をサポートをしています。

ULIのプラットフォームにおける成功の鍵は、Sitecoreのパーソナライゼーション機能です。Knowledge Finderは正会員が利用するため、具体的な興味関心などの有用なプロファイルをすでに得られています。それらのプロファイルにサイトでの閲覧履歴や行動を結び付けており、Sitecoreの機能を利用して精度の高いパーソナライズされたコンテンツを各ユーザーに提供できるようになりました。また、AIと機械学習を活用した予測検索エンジンによって、会員が何千ものリソースや業界有数企業や人物、事例から最も関連性の高い業界知識を得られるようになりました。

Knowledge Finderの関連性を維持するためには、AIと機械学習を活用したSitecoreの能力が不可欠です。例えば、SitecoreはKnowledge Finderが、「自動運転」という用語を「無人自動車」などの同意義の用語や最新の用語として認識できるようにしています。また、閲覧履歴などから、ユーザーの興味関心を把握し、関連あるコンテンツを提供しています。さらに、ユーザーはワンクリックでULIのライブラリー担当者にメールを送信し、コンテンツ検索のサポートを求めることもできます。

パーソナライゼーションに基づいて構築されているSitecoreの強力なデータ分析をメールマーケティングツールと組み合わせれば、閲覧されたコンテンツやその履歴に基づいて、パーソナライズされたメールキャンペーンを実施することもできます。また、ULIは、Sitecoreの機能を活用し、会員のエンゲージメントの度合いに応じたセグメンテーションを行っているほか、会員の興味関心に合わせてトピックの要約とコンテンツを提供しています。ULIがウェビナーを開催した際には、Knowledge Finderがコロナ禍で欠かせないプラットフォームであることが実証されました。ウェビナーの開催は12回から1,000回以上に増加し、Sitecoreのテクノロジーによってウェビナーのコンテンツが検索可能になり、自動翻訳が導入されました。

未来の都市開発を形成する上で、今後はサステナビリティが極めて重要な要素となることが見込まれるため、ULIなどのコミュニティにとっては、気候変動や手頃な価格の住宅といった課題に注目することが不可欠であるだけでなく、革新的な考え方を取り入れ、新たな人材を育成することも必要です。ULIは、より良い未来を築くための知識をコミュニティが学び、共有し、収集する上で必要なトレンド、イノベーション、テクノロジー、ソリューションの発信に努めており、そのサポートしてくれるという点でSitecoreは価値のある存在です。

Adam Smolyar氏は、アーバンランド・インスティテュートの最高マーケティング責任者兼最高技術責任者として、ブランドマネジメント、マーケティング、コミュニケーション、テクノロジー、メンバーエクスペリエンスの戦略と実行を統括しています。

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