全国約1,300の金融機関が利用する、セキュアな情報伝達・共有ポータルを「Sitecore CMS」で実現

株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称:でんさいネット)は、主として中小企業の資金調達円滑化を目的に、従来の手形に代わる電子記録債権「でんさい」の記録・流通業務を司る電子債権記録機関である。2012年5月の開業に先立ち同社は、でんさいを取り扱う全国約1,300の窓口金融機関への正確かつ迅速な情報伝達・共有を図るための専用ポータルサイト「Info-Share-Ad(Densai-Net Information Share and Administration System)を構築し、2011年6月より運用を開始している。同ポータルの運用を司るWeb CMS(Webコンテンツ管理システム)に選ばれたのは、サイトコアの「Sitecore CMS」。アクセス権限に基づくセキュアなコンテンツ管理およびEメール配信/アンケート作成機能のすぐれた使い勝手や、今後の機能改善・拡充を柔軟に行える拡張性などが高く評価されての採用である。

   
全銀電子債権ネットワーク
代表執行役社長
松本康幸氏
全銀電子債権ネットワーク
執行役兼担当課長
高倉裕一氏
全銀電子債権ネットワーク
担当課長
山口修氏


【課題】

全国銀行協会によって設立された株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称:でんさいネット)は、従来の手形に代わる新たな決済手段である電子記録債権「でんさい」を、中小企業を始めとする全国の事業者が窓口金融機関を通してスムーズに利用できるよう、その記録・流通を一手に担う機関である。全銀電子債権ネットワーク 代表執行役社長の松本康幸氏は、同社のミッションを次のように説明する。「電子債権は元来、ベンチャー企業や中小企業のキャッシュフロー管理を簡潔化し事業展開をしやすくするために創設された制度です。企業が最寄りの金融機関から電子債権を気軽に利用できる社会インフラの役割をでんさいネットが果たすことで、利用の裾野を広げて中小企業の経営効率化を支援していく、というのが当社の使命になります」

同社は、2012年5月より取り扱いがスタートする電子債権を全国に普及させ、企業にスムーズに利用してもらうにあたって、電子債権記録ネットワーク自体に加えて、窓口金融機関への必要な文書・情報の通達や情報共有を行う仕組みが不可欠だと判断。2010年秋より、同社と全国約1,300の窓口金融機関とを結ぶ専用ポータルサイト「Info-Share-Ad(Densai-Net Information Share and Administration System)構築の検討が始まった。

構築に際して重視されたのは、

  1. 通達や連絡の文書に加え、利用企業からの問い合わせや苦情といった機密情報で構成されるコンテンツにアクセス権限を設けてセキュアに扱えるようにすること、
  2. 金融機関の種別や担当者の職種といったグループごとにコンテンツ閲覧権限を設定し、グループ個別の通達を確実・迅速に行えること、
  3. ビジネス環境の変化に応じた機能の改善や追加を容易に行える柔軟性を備えていること

の3つだ。

「でんさいとは、当社と金融機関とでこれから築き上げていくブランドであり、万一、情報漏洩などの深刻なトラブルでブランドが失墜すれば事業はその時点で終わります。そのため、特にセキュリティに関しては、Info-Share-Adの最重要要件として慎重に検討を重ねました」(松本氏)

【ソリューション】

上述の要件を高いレベルで満たすソリューションとして、グループウェアを含む複数の候補の中から選ばれたのが、ソフトバンクテレコムのクラウドコンピューティングサービス「ホワイトクラウド」を基盤にソフトバンクテクノロジーが提供する、サイトコアのWebコンテンツ管理システム「Sitecore CMS」である。

「米国防総省を始めとするグローバルでの導入実績が裏付けるセキュリティ・信頼性の高さ」(松本氏)や、「1,300の金融機関においてでんさいネットの取り扱いを担当する約4,000人のユーザーを対象としたグループへのメール配信および各種コンテンツ管理を迅速に行えるユーザーフレンドリーな操作性」(執行役兼担当課長 高倉裕一氏)といった特長をすぐれた費用対効果で得られることが高く評価されての採用となった。

Sitecore CMSでは、一般的なWebコンテンツ管理機能に加えて、アンケート作成機能や登録ユーザーへのEメール配信機能などデジタル マーケティング機能が組み込まれており、すべての機能はポータル管理画面から一元的に管理することが可能だ。「Sitecore CMSに備わる豊富な管理機能とそれらを一元的に扱える仕組みは、1,300社/4,000人という大規模なユーザーにInfo-Share-Adへのセキュアで迅速なアクセスを提供するうえで不可欠なものになっています」(高倉氏)

また、Info-Share-Adの運用上特に重要視されたのが、アクセス分析やデジタルマーケティングの機能である。これらの機能を利用して、金融機関の種別や担当者の職種で分けられたグループへのメール配信を行って、しかるべき担当者に情報を正確に届け、さらには、確実に届いて読まれているかについても確認(閲覧確認)できるようにしているのである。

【導入の効果】

Sitecore CMSとホワイトクラウドとの親和性の高さもプラスとなり、Info-Share-Adの構築作業はスムーズに進み、開発作業開始からわずか3カ月で完成。期日どおり6月より運用が始まっている。
「情報を届けるべき人に、セキュアな手段で確実に届けることができています。でんさいネットというブランドの信頼性につながる、この最も重要な役割がSitecore CMSに備わる機能によって、期待どおりにInfo-Share-Adにおいて実現されていることが何より大きいです」(担当課長 山口修氏)

また、松本氏は当初、でんさいネット事業にかかる業務量の予測が困難だったこととInfo-Share-Adのユーザー規模から、その運用業務には相当なスタッフの増員が必要だと考えていた。だが、蓋を開けてみれば、Sitecore CMSの直感的なユーザー・インタフェースがもたらすシンプルで使い勝手のよいサイト/コンテンツ管理機能が功を奏し、大幅な増員をすることなく、運用業務の十分な効率化が図れるとの判断に至っている。

現在、でんさいネットは、Info-Share-Adをフルに活用して金融機関の協力を仰ぎつつ、2012年5月の取り扱い開始に向けた準備を整えている段階にある。そうした中、現在はHTMLファイルの手動更新で運営しているでんさいネットのパブリックWebサイトを、Info-Share-Adと同様、Sitecore CMSでコンテンツ管理を行えるようにして、さらなる作業の効率化を図ることが検討されている。高い拡張性が買われて、複数サイトの統合管理の事例をグローバルで多く有するSitecore CMSにとって、まさに本領発揮のフェーズになる。