海外を含むグループ全社をひとつの基盤に統合して、効率的なWeb運営を実現

問題・課題の背景

求めたのは、セキュアで効率的なWebサイト運営が実施できるプラットフォーム

PHCホールディングス株式会社（以下、PHCHD）は、2014年に前身であるパナソニックグループのヘルスケア部門からカーブアウト後、現在は国内外に関連子会社89社を抱え、世界125ヶ国以上で製品を販売しています。血糖値測定システムなどを扱う糖尿病マネジメント、がん診断製品や保存・培養機器などを展開する診断・ライフサイエンス、電子カルテシステムや臨床検査を手掛けるヘルスケアソリューションの3領域を事業の柱としています。特に、昨今では、新型コロナワクチンの保管に最適な超低温フリーザーの製造・販売でも注目を集めています。

Sitecoreの導入は、前述のカーブアウトに際し、それまで使用してきたパナソニックグループのシステムからの切り替え先を探していたタイミングのことでした。同社では「One PHC Group」というスローガンを掲げ、グローバル全体で統一感のあるセキュアなWebサイト運営をしたいという要望を強く持っていました。この2点を満たした大企業向け製品の中でも、PHCグループに将来的に必要な機能を検討しSitecoreを選択しました。

課題発見と開発の方向性

10年後を見据えたプラットフォーム選定で、CMSに留まらないSitecoreの拡張性の高さを評価

当時のCMS（コンテンツ管理システム）導入の目的は、「PHCグループ独自のデータ基盤を持つこと」「グローバルで統一的なWebサイト運営をおこなうこと」「それを効率的に管理し、セキュアな環境で実現すること」の3点でした。Sitecore導入に関わったPHCHDコーポレートコミュニケーション部ブランドマネジメント課の飯野通氏（以下、飯野氏）は強調します。「海外販社も含めて統一した基盤でWebサイトを運用することで、セキュリティを含めて本社側でしっかり管理し、グローバル全体でガバナンスを利かせ、効率的にWebサイト運営を実現したい。その一方で、事業部主体の情報発信を積極的に促す仕組みも導入したいと考えていました」。

CMS選定に当たっては、①業務効率化、②デジタルマーケティング強化、③ブランド認知向上といった課題の改善も考えていたと、飯野氏は振り返ります。「2014年の導入当初の目的だけで選定するなら、本社から管理しやすいプラットフォームであればよかったんです。しかし、今後のデジタルコミュニケーションの進化と拡大を考えると、CMSだけでなく、デジタルマーケティングへの活用も視野に入れて選ぶべきだろうと思いました。Sitecoreは、Webデータを統合して管理しており、将来的、そして段階的な進化を考えると、その拡張性の高さが好ましく感じられました」

CMSの切り替えは、まず国内事業会社から始め、その後、海外事業会社という順番で展開。2018年に対象の事業会社をSitecoreに移行し終えました。

グローバルで統一されたWebサイト基盤だから、垂直立ち上げからの横展開もスムーズ

Sitecore XPの導入による内製拡大に伴って、Sitecoreのユーザー管理やコンテンツ管理、バージョン管理機能の便利さを改めて実感したと飯野氏は振り返ります。2021年10月の東京証券取引所市場第一部への上場に際してコーポレートサイトの構成の変更を行いました。短期間のうちに多くのディレクトリ変更を実施しましたが、Sitecoreのコンテンツを一元管理できる機能をフル活用することで問題なく対応。「非常に助かりました。導入の成果を改めて実感しました」（飯野氏）。

また、新型コロナワクチンの運搬・保管に関して、同社の超低温フリーザーが世界的に大きな注目を集めましたが、その急激な需要増加に際しても、Webサイト基盤を統一した成果が現れました。PHCHDの事業会社であるPHC株式会社バイオメディカ事業部が制作した製品紹介のPDF（英語）を多言語展開して、世界各国の需要に対応。こうした垂直立ち上げからの横展開がスピーディにできたのはひとつの大きな成果であり、今後も同様の事例を増やしていきたいと、飯野氏は語ります。