エネルギーを選べる時代、ポータルサイト「myTOKYOGAS」刷新で、契約者のロイヤリティを向上

日本最大の都市ガス事業者である東京ガス株式会社は、契約者向けのポータルサイト「myTOKYOGAS」を Sitecore で刷新。顧客エンゲージメントの強化に乗り出した。お客様の属性や行動履歴に合わせてパーソナライズした情報発信をおこなうことでロイヤリティを高め、「選ばれる会社」を目指す。

東京ガス株式会社

リビング営業計画部

デジタルマーケティングループ

マネージャー

中村 肇氏

ようやくいろいろなことが自由にできるようになった感じがあります。Sitecoreは、手に取るように反応が見えるので、躊躇なくコンテンツを配信し、試行錯誤を繰り返しながら、お客様とのエンゲージメントを高め、ロイヤリティ向上に寄与するコンテンツをどんどん増やしていきたいですね。

 
 
 
 
 
 
 
 

 

【課題:エネルギーの自由化に向け「選ばれる会社」になるために、ポータルサイトの刷新に着手】

1885年の創立以来、130年にわたり主に首都圏・関東地域への都市ガス供給を通じて、人々の豊かな暮らしや社会の発展を支えてきた東京ガス株式会社。20164月には、電力小売りの全面自由化がスタートしたことを受け、同社でも電力の供給事業を開始。さらに20174月には都市ガス小売りが全面自由化され、一般家庭を含めたお客様が、ガスも電気も自由に供給先を選べるようになった。

 

お客様にとっての選択肢が増えれば、エネルギー企業の競争激化は必至であり、最大手といえども地域独占に安住するわけにはいかない。現在、東京ガスの都市ガス供給件数は約1,100万件。この大規模な顧客基盤を維持しながら、「ガスも電気も任せて安心の東京ガス」として電力販売を拡大していくためには、「選ばれる会社」になるための戦略が不可欠である。

 

東京ガス株式会社 リビング営業計画部 デジタルマーケティンググループ マネージャーの中村 肇氏は、こう振り返る。「当社は、ガスと住まいに関するトータルサポートを提供する地域密着型店舗『東京ガスライフバル』を通じて人と人とのつながりを作り、その中で仕事をしてきました。自由化の波を受け、東京ガスが選ばれ続ける会社になるためには、これまで接点を持てなかったような人たちともコミュニケーションの機会を作っていく必要があります。そこで、Webサイトを活用した顧客エンゲージメントの強化に乗り出したのです」。

 

同社のWeb サイト全体で抜本的な見直しが進むなかで、一般家庭の契約者向けポータルサイト「myTOKYOGAS」もリニューアルへの動きが本格化。2003 年の立ち上げ当初から、ガスの使用量や料金を照会するためだけに存在していた同サイトは、契約者が会員登録してもほとんど閲覧の機会がなく、お客様とのコミュニケーションという意味においては有効に機能していないのが現状だった。

 

中村氏は、手つかずだったポータルサイトのてこ入れに踏み切った理由を、「東京ガスと接する機会を増やし、ブランドを認識してもらうためにも、再訪の動機付けになるような魅力的なコンテンツを用意し、できるだけ多くのお客様に頻繁にアクセスしていただけるようなWeb サイトにしたいと考えました」と説明する。目指したのは、顧客エンゲージメントを深めるとともに、ロイヤリティ向上に寄与するWeb サイトである。

 

【ソリューション:Sitecore の基盤に、料金を閲覧するだけのサイトからロイヤリティ向上に寄与するサイトへ大転換】

大きなきっかけが自由化の動きにあったことはいうまでもないが、はじめからロイヤリティ向上を見据えて走り出したわけではない。実は、リニューアルの検討を始めた2014 年秋の段階では、自由化のタイミングまでに、契約の申し込み手続きがWeb上で簡単におこなえるようになることを優先課題に据えていたという。しかし、そもそもSitecore Experience Platform の導入を決めたのも、お客様の特性に応じてコンテンツの出し分けができるなど、Web サイトの運営に戦略的に寄与するCMS 製品として評価してのことだ。

 

「そのままプロジェクトを進めていれば、デジタルマーケティング基盤としてのSitecore® Experience Platform™に期待したにもかかわらず、既存サイトと同じものをSitecore Experience Platform 上で作り変えるだけにとどまっていた可能性もあります」と中村氏。ポータルサイトのあるべき姿が十分に議論されていないことに疑問を感じた中村氏は、すでに走り出していたプロジェクトに待ったをかけ、201510月、アバナード株式会社に協力を依頼。「サイトコア製品に含まれる機能群の性能が非常に高く、当社に機能を使いこなせるだけの技術力がなかった」として、サイトコア製品のプロフェッショナルであるアバナードと共にプロジェクトを再始動したのだ。

 

アバナードがはじめに提案したのは、改めて原点に立ち返り、「ポータルサイトの役割」を見直すこと。そもそもターゲットはどのようなお客様なのか、お客様のニーズに応えるサイトはどうあるべきなのか、Sitecore Experience Platformを使って何ができるのか、東京ガスとしてどのようなマーケティング戦略を展開していくかといったことを議論しながらコンセプトを策定。そこから設計やデザインに落とし込んでいった。こうして、使用量や料金を見える化するだけのサイトから、東京ガスブランドに対するロイヤリティの向上に寄与するサイトへ、大転換を図ったのである。

 

新しいポータルサイトは、会員データベースと連携。Sitecore Experience Platformのパーソナライズ機能を使って会員属性に合わせたコンテンツやバナーの出し分けをおこなうほか、潜在的に優良顧客になり得る訪問者には、会員のメリットを少しだけ体験できるコンテンツを配信するなど、会員登録への誘導を促すしかけも盛り込んだ。

 

また、運用面では、頻繁に更新が必要なコンテンツをテンプレート化するとともに、承認プロセスを設け、コンテンツの作成からサーバーへのアップロード、最終承認までをすべて社内でおこなえるようにした。これにより、クリエイティブなコンテンツや新規コンテンツの作成はこれまでどおり外部ベンダーに依頼しても、連載記事や料理レシピなどの鮮度が求められるコンテンツは社員の手で定期的に配信できるようになっている。

 

【導入の効果:お客様の反応を見ながら早いサイクルでより魅力的なコンテンツを配信し、会員数6~7倍に】

完成した新ポータルサイト「myTOKYOGAS」は既存のポータルサイトとはまったく別物といえるほど、機能的にもデザイン的にも大きな変貌を遂げた。2003 年当時は何もなかったコンテンツが充実。「食」「暮らし」「省エネ」の3 つのテーマ別に、さまざまなお役立ちコンテンツを展開する。同サイトのKPI に設定している会員数は、リニューアルの検討を始めた20154月との比較で67倍に増加した。

 

「料金を確認する目的で来訪されるお客様ももちろんいらっしゃいますが、料金ページを一切閲覧することなく、コンテンツだけを見に来られるお客様も多数いらっしゃいます。お客様とのエンゲージメントを深めるという当初の目論見どおり、コンテンツの魅力でお客様をつなぎとめることができています。ポータルサイトに価値を見い出してくださっているということです」と中村氏。効率的な運用を可能にするSitecore Experience Platformの導入により、コンテンツの更新頻度を高め、鮮度の高い情報発信が可能になったことが、再訪の動機付けに寄与しているといえる。

 

コンテンツの充実に加え、運用スピードも格段に向上している。従来はコンテンツそのものがほとんど存在せず、取り立てて運用面での課題が表面化することもなかったが、リニューアル後は、とりわけキャンペーンの実施においてSitecore Experience Platformの導入メリットを実感する場面が多い。キャンペーンを実施するたびに外部に依頼していた更新作業は、社内の運用環境へ移行。早いサイクルでキャンペーンを展開できるようになり、マーケティング活動のスピードと機動力は飛躍的に高まっている。

 

オンラインからオフラインへ、オフラインからオンラインへつなげることで、ネットとリアルの相乗効果も高まりつつある。たとえば、オフラインと連携し、居住地に特化した東京ガスライフバルのイベントのご案内を送ったり、料金ページを頻繁に閲覧する会員の行動履歴を分析し、ポータルサイトの利用動向を踏まえた会員層ごとのキャンペーンを実施したりといったことも迅速におこなえる。また、DMによるキャンペーンを実施し、DMから契約に至った顧客の閲覧履歴を分析するなど、オフラインからオンラインへ連携した効率的な情報収集もおこなえるようになった。

 

さらに、フォームの入力情報からユーザーの動向追跡を可能にするWeb Form for Marketers (WFFM)モジュールにより、アンケートフォームを簡単に作成し、お客様の声をすぐに拾えるようになったことも大きい。「アンケートフォームを印刷してDMで郵送し、それを返送してもらうとなると、コストも手間暇も時間もかかってしまいます。WFFMだと3日もあればアンケートフォームが準備できて、12週間でたくさんの回答が返ってくるのですから大きな違いです」と中村氏は評価する。

 

「ようやくいろいろなことが自由にできるようになったと実感しています。コンテンツに対する反応を見ながら、人気の高いものやお客様に喜ばれるコンテンツをどんどん配信していきたいですね。手に取るように反応が見えるので、躊躇なくコンテンツを配信し、試行錯誤しながらよりいいものを生みだしていくことができます」と中村氏。エネルギーは選べる時代へ。同社は、もっともリーズナブルな方法で俊敏かつ的確にお客様の声に応えながら、豊かで潤いのある暮らしに寄り添い、より多くの信頼の絆を結ぼうとしている。

 

*20174月現在

 

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