単なるWebポータルからビジネスに貢献するサイトへ
「デジタルマーケティング」機能を活用してパートナーサイトを再構築

富士通株式会社では、パートナー企業のビジネス支援を活性化させることを目的として、2001年から続くパートナー向けサイト「PFP (PORT FUJlTSU PARTNER)」の大規模リニューアルに取り組みました。再構築に求められたのは、単なるWebボータルからビジネスに貢献するサイトへの進化。Sitecoreを導入した新サイトでは、ユーザーインターフェース改善はもちろん、マルチデバイスへの対応やパーソナライズによるきめ細かい情報提供など、実ビジネスにつながるデジタルマーケティングの実践を推進しています。


   
富士通株式会社
パートナービジネス本部
ビジネス戦略統括部
商品企画&プロモーション部
三原 千加氏
富士通株式会社
IT戦略本部 グローバルコミュニケーション基盤推進室
シニアマネージャー
吉田 貢久氏
富士通株式会社
パートナービジネス本部
ビジネス戦略統括部
商品企画&プロモーション部
宇野 久美氏
「Sitecoreの数ある機能を各部門が上手に活用していけるよう、まずはわれわれが実践して各部門に展開しながら、デジタルマーケティングの実践とビジネス貢献に取り組
んでいきたいと思います」
「Microsoft製品と相性がよくパーソナライズ機能が最も充実した『Sitecore Experience Platform』に決めました」 「アクセス数は上昇傾向にありますので、より見られている実感はあります」

【課題:Webポータルから脱却。パートナーのビジネスを支援する情報プラットフォームへ】

富士通では、2001年から公開していたパートナー向けサイト「PFP (PORT FUJITSU PARTNER)」を再構築し、2015年10月に「ALL-WAYS」へとリニューアルしました。目指すゴールは国内500社、1万8000人のユーザーが活用するこのサイトを、パートナーのビジネスを支援する情報プラットフォームとして一新することでした。パートナー向けサイトは、社内のさまざまな部門から寄せられる情報が集約される場であり、かつ多くのパートナーと情報を共有するためのハブとなる場です。そこに関わる全ての人々が満足のいくサイトを構築するのは並大抵のことではありません。さらに今回、担当チームに求められたのは、「単なるWebポータル」から脱却し、ビジネスに貢献するサイトへ進化させることでした。Webサイトを刷新する際に課題となったのは、数ある製品の中から、どれを採用するかを決めることでした。マーケッターの視点、コーダーの視点、システム部門の視点など、立場によって重視するポイントが大きく異なります。関わる人数が増えれば増えるほど、意見を集約して前に進むことが困難です。エンドユーザーはもちろん、リニューアルに関わる人々にもできるだけ負荷を掛けず、プロジエクトを推進することを心がけました。

今までのPFPサイトでは、1つのポータルに複数の製品サイトが寄せ集められるように存在し、各部門が独自のやり方で運営していました。そのため、PFPのトップページから各サイトへ移動すると、デザインやメニュー構成が異なっていることに加え、サイト間を移動する際には都度IDやパスワードを入力し直さなけれぱならないなど、エンドユーザーであるパートナー企業にとって、非常に使いづらいものとなっていました。過去にアンケートをしたところ、『いろいろなサイトがあって使いづらい』『情報を探すときに、複数のサイトを横断して検索ができない』といった声をいただきました。ユーザビリティの面から、パートナー様にとって使いやすいサイトへリニューアルする必要性を強く感じていました」と、リニューアルプロジェクトを推進したパートナービジネス本部 ビジネス戦略統括部 商品企画&プロモーション部 三原千加氏は語ります。

 

【ソリューション: レガシーなシステムからSitecoreへ、大幅リニューアルプロジェクト】

PFPを利用するのは、パートナー企業の担当者約1万人と、富士通のグループ会社社員約1万人です。また、サイトにコンテンツを提供している部署は約80に上ります。三原は、この大規模なリニューアルプロジェクトに挑むに当たり、まず現状の問題点を洗い出し、情報システム部門であるIT戦略本部 グローバルコミュニケーション基盤推進室 シニアマネージャー 吉田貢久氏に相談しました。「PFPリニューアルの相談を受けた当時、システム部門では全く別の角度で問題を抱えていました」と話す吉田氏。富士通ではメーラーやスケジューラーといったコミュニケーション基盤をグローバルで統一することで、ロスを減らそうという取り組みを進めており、Webサイトの管理に関しては、Microsoft Sharepointで統一しようとしていました。しかし、Sharepointはナレッジを整理して格納することに長けていますが、パートナーサイトのように情報をプッシュで届ける必要のあるサイトでは使いにくい部分がありました。吉田氏がミドルウェアを評価する上で重視したのは「全社共通のインフラになり得るだけの品質や信頼性」「海外でも使えること」「社内での実践事例をお客様にも提供でき、ビジネスに直結できること」の3点でした。「サイト内で『デジタルマーケティング』を実践して個々のお客様に最適化を図り、売り上げ向上につなげたいという狙いもありました。そこで、Sharepointで共有した社内のデータをパートナーサイトにもワンソースマルチユースできるように、Sharepointに登録したコンテンツを自動的に取り込むことができるツールを探し、Microsoft製品と相性がよくパーソナライズ機能が最も充実した『Sitecore Experience Platform(以下、Sitecore)に決めました」(吉田氏)

2014年4月に開始したリニューアルプロジェクトですが、12月になってようやく実際の構築に入りました。しかし、そこからがまた困難な道のりでした。まず、プロジェクトに関わる20~30人を説得して、Sitecoreに統一することで合意してもらう必要がありました。さらに、過去10年間で蓄積されたデータを精査して移行するデータを絞り込んでもらうところにも、かなりの時間が必要でした。パートナービジネス本部 ビジネス戦略統括部 商品企画&プロモーション部の宇野久美氏は「皆さんSitecoreを知らないところからのスタートだったので、三原と2人で各部署を回って、直接会って説明しながら理解してもらえるよう努めました。部署によって事情も異なりますから、一方的にSitecoreの機能紹介をするだけでは、なかなか対応してもらえませんでした。とりあえず新しいツールが良い悪いではなく、『慣れた方でやりたい』という声が根強かったですね」と、当時を振り返ります。個々のサイトではページの更新に都度、HTMLを書き変えている部門もありました。独自のやり方で全てを制御してきた分、そのイメージから脱却するのが難しいのも仕方のないことです。「どうしても『今までのUI(ユーザーインターフェース)のまま移行したい』と思いがちです。しかし、実際にご利用になるパートナーの皆様にとって使い勝手が良いページ構成にして、デザインも分かりやすく統一していきましょうと、根気強く説得するしかありませんでした」と三原氏。統一したデザインにするために、ビジネス戦略統括部ではテンプレートを作成し、何度か説明会も開きながら、移行の手順を伝えました。移行の前には、不要なデータを減らすための断捨離も敢行。残すページ量の目標値を10分の1と定め、1年以上見られていないページやリンク切れになっているページなど、過去のアクセスログを基に抽出したデータを各部門へ配布しました。「今回のリニューアルをきっかけに、そうした整理ができた」(宇野氏)というのは、リニューアルの思わぬ副産物です。

 

【導入の効果:アクセス数向上、そしてさらなるデジタルマーケティングの実践、実ビジネスにつながる場へ】

使いやすくMicrosoft製品と相性がよく、拡張性に優れたSitecoreですが、ユーザー属性などにより表示するページを制御するパーソナライズ機能、そしてユーザーの行動履歴を分析しスコアリング(重みづけ)するデジタルマーケティング機能もまた大きな特長です。今回B2B目的のパートナーサイトでこれを採用し、デジタルマーケティングに取り組む必要はどこにあったのでしょうか。その理由を、宇野氏は次のように語ります。「パートナービジネスというのは、『どれでも好きなものを、できるだけたくさん売ってください』というものではなく『このパートナーさまにはこれ』という狙いが個別にあります。だからパートナーA社とB社では、見てもらいたい情報が異なってきます。そこで、各社との関係に合わせて出す情報を細かくコントロールできる必要があるわけです」。そのような細かい調整ができるのが、Sitecoreの強みなのです。

紆余曲折を経て、ようやく立ち上がったALL-WAYSは、大きな変革を遂げました。PFPは、どこに何があるか予め理解している人が利用することを前提としていたため、ただ製品名が羅列されていただけでしたが、ALL-WAYSではトップページからパーソナライズの機能が活用されています。例えばログインが5回以内の人にはユーザーガイドを見せ、それ以上の人には違うコンテンツを見せるといった具合です。また、自動的にバナーが切り替わるカルーセルを使い、新モデルの告知やマイナンバーのような旬な情報を提供する場としても活用できるようになりました。テキスト要素は極力削減し、画像で見せるようにした結果、アクセス数の向上にも結びついています。「以前は、サイト内で迷ってしまって、不必要に行き来したPVもアクセス数としてカウントされていましたが、それがなくなった今でもアクセス数は上昇傾向にありますので、より見られている実感はあります」と、宇野氏は手応えを語ります。当然のことながら、Sitecoreを導入したことで、情報の更新にかかる作業時間は格段に短縮されました。各部署の独壇場となっていた個別の製品サイトが統一されたことで、サイトの情報を更新するフローも明確になりました。また今回、レスポンシブデザインに対応したテンプレートを使って、どんなデバイスからでも最適な形でページを見られるようにしたのも、大きな革新です。企業内のクライアントPCは徐々にタブレットへ移行していく流れになってきており、今後スマートフォンも無視できない情報端末になってくるという考えからです。実際、パートナー企業においても営業部門にはタブレットが配布され、外でも業務をするケースは多くあります。外出先からALL-WAYSにアクセスして、その場でお客様にカタログやPDFの資料を見せられるようなコミュニケーションができるようになった意義は大きいといえます。

次のチャレンジは、Sitecoreのスコアリング機能を活用しながら、ユーザーがどのコンテンツにどのくらい接しているのか計測し、適切なタイミングで次の施策を打つ「マーケティングオートメーション」の取り組みの強化です。Sitecoreではエンゲージメントプランで条件を設定し、それに合致したユーザーに対するアクションを自動的に実行することができます。例えば、「ニュースレター購読候補」とスコアリングされたユーザーには登録特典付きの勧誘メールを送信することが可能です。パートナーサイトでありながらも、こうしたデジタルマーケティングの実践を進めることで、実ビジネスにつながる場に育てていく予定です。「Sitecoreの数ある機能を各部門が上手に活用していけるよう、まずはわれわれが実践して各部門に展開しながら、デジタルマーケティングの実践とビジネス貢献に取り組んでいきたいと思います」と三原氏は締めくくりました。

 

 

 

出典:ITmediaマーケティング掲載記事
http://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1602/26/news029.html

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