大半の組織には隠れたコンテンツが眠っています。 問題は、それらのコンテンツがまったくまたはほぼアクセスできない状態にあることです。
コンテンツの検索にはこれまでにも膨大な時間とコストをかけてきましたが、コンテンツとアセット管理の不備により、さらに多くのリソースを費やし、キャンペーン作業が倍増しています。
5部構成から成る「コンテンツ危機」シリーズの第1部では、 コンテンツのサイロ化に関する拡大している問題について説明しました。 今月実施する第2部では、 コンテンツ管理の不備に伴う真の損失についてと、ブランドがコスト効果の高いコンテンツおよびアセット管理により、チャネル全体でカスタマーエクスペリエンスのパーソナライズを促進する方法について説明します。
真の損失1: 時間
コンテンツ管理の不備は社員の生産性を大幅に低下させます。 実際にIDCのデータでは、ナレッジワーカーは1日あたり約2.5時間または営業日の約30%を情報検索に費やしていることが明らかとなっています。
そして、情報検索のほかにも、ナレッジワーカーが時間を無駄に費やしてしまうコンテンツ関連の様々なタスクがあります。 Nintexの Definitive Guide to America’s Most Broken Processes (米国で最も崩壊しているプロセスガイド決定版)では、コンテンツマーケティング担当者が最も時間を浪費しやすいタスクは以下のようになっています。
- 文書の検索
- 承認リクエスト
- バージョン管理
- 共有
ご想像のとおり、行方不明のコンテンツやコンテンツのサイロ化にまつわるストレスは業務に大きな影響を与えます。探しているコンテンツが見つからない、またはその存在を認識していないために、マーケティング担当者はコンテンツを再度作成しなくてはなりません。
また、コンテンツやアセットを効果的に検索、管理、追跡できない企業は、高いROIを生成するコンテンツを特定するための主な測定基準も設定していません。 パフォーマンスの高いまたは低いコンテンツを把握すれば、成果の出ないアセットを作成する時間とリソースも排除できます。 これは、2つ目の真の損失につながります。
真の損失2: コスト
大企業での効率性の低さは、収益に影響を及ぼす大きな損失の原因にもなります。 行方不明のコンテンツは、社員の時間を無駄にしたり、高くつく複製作業が必要になったりするだけでなく、企業の人材維持も左右します。
高品質のコンテンツを作成するプロセスには、多くのリソースが必要です。 しかし、マーケティング担当者がチャネル全体でコンテンツを迅速かつ簡単に検索、共有、再利用できなければ、ROIの価値はすぐに下がってしまいます。 IDCのデータによると、社員1,000人以上を抱える組織が文書を効率的に検索できない場合、年間およそ250万ドルもの損失になります。 これだけでなく、きちんと管理されていないコンテンツを再度作成するためのコストとして500万ドルを費やしています。
社員が職場で大きなストレスを感じ、その結果として社員の離職率も高まります。 これに伴い、新社員の採用、オンボーディング、トレーニングのコストも発生します。 つまり、コンテンツ管理の不備はあらゆる面で企業の収益に影響するのです。
真の損失3: パーソナライズの制限
コンテンツ管理の不備による真の損失はリソースの浪費にとどまらず、全体的なカスタマーエクスペリエンスにもあらゆる面で影響を及ぼしますが、これを測定するのはさらに困難です。 現在、顧客はブランドに豊富なデジタル機能を求めていますが、多くの企業はそれを提供できず、アセットを上手に管理できていません。
パーソナライズのカギは、関連するコンテンツを取得して配信することです。 マーケティング担当者は多数のチャネルで顧客の接点をパーソナライズする必要があるため、自動化なしで膨大な量のコンテンツを管理することはとても困難です。 コンテンツをタグ付けまたは整理する機能がなければ、マーケティングチームがプロセスを効果的に自動化することはほぼできません。
新しいチャネルを迅速に対応しようとする取り組みの中、多数の組織がデジタル分野での新しい接点(Amazon Echoやスマートウォッチ)を入念な計画なしで急遽サポートするようになりました。 バックエンドの様々なサイロ化により、コンテンツやアセットが分断されているため、マーケティング担当者は新しいチャネル向けにコンテンツを複製することとなり、これがオフブランドのコンテンツが作られる一因となります。 パーソナライズ、データアナリティクス、顧客を理解するという観点において、3分の2のビジネスが「自社のカスタマーエクスペリエンスは成熟していない」と述べていることも頷けます。
これに加えて、単一のデジタルチャネル向けに作成されたコンテンツを別の接点に配信することは適応性の面で難しくなります。 チャネルに依存しないコンテンツを作成しなければ、マーケティング担当者はチャネル全体でパーソナライズする際に苦戦することになります。
真の損失4: 規模の調整ができない
コンテンツが組織内をスムーズに移動し、新しいチャネルと市場の規模に対応することができれば問題はありません。 しかし、マーケティング担当者をサポートするオンブランドの関連コンテンツを迅速に検索またはタグ付けできるシステムを導入しておらず、コンテンツがサイロ化および分断されたままの状態になると、規模の調整は悪夢のような作業になります。
デジタルエクスペリエンスのパーソナライズにおいてコンテンツは燃料です。関連コンテンツをリアルタイムで迅速に検索/取得できる自動化されたシステムを導入する必要があります。 分断および切断された未整理のコンテンツ管理プロセスは簡単には排除できません。
コンテンツを見つけ出せても、アセットを新しいチャネルや接点向けに容易に再利用できなければ、ブランドのオムニチャネルマーケティングの機会は制限されてしまいます。
真の損失5: 機会コスト
俊敏性は企業にとって重要です。デジタル分野ではスピードが命取りであるため、時間制限のある状況でコンテンツにすぐにアクセスできなければなりません。 また、企業はマーケティング担当者が新しいキャンペーン、ランディングページ、ソーシャルメディアの投稿を瞬時にローンチできるよう、最適なコンテンツを常に準備万端な状態にする必要もあります。
たとえば、ソーシャルメディアで関連するトレンドが高まっている場合、その機会に投資できるよう、マーケティング担当者はコンテンツにすばやくアクセスする必要があります。 コンテンツ管理に不備があると、企業は最も重要な場面で最適なコンテンツを取得できなくなります。 企業はデジタル分野に適応するために効果的なコンテンツ管理が必要です。
短期間の市場トレンドを打ち破り、新製品の発売、新規市場への参入、新しいチャネルや接点への対応を成功させる要因となるのは、コンテンツのアクセシビリティです。 企業が既存のコンテンツを効果的に活用できない場合、コンテンツ戦略を現状から拡大させるにはあらゆる面で損失が大きくなります。 さらに、ブランドが不備のあるままコンテンツ管理を拡大すると、一貫性のないメッセージを配信したり、新しい地域や市場向けにローカライズまたはパーソナライズされていないコンテンツを配信したりしてしまいます。 繰り返しになりますが、コンテンツを永続的に複製する「ソリューション」がリソースを無駄にする悪質なサイクルに拍車をかけるのです。
タグ付け、検索、フィルタで拡張性を維持
モバイル、Webサイト、スマートウォッチなどに迅速に配信できるチャネル非依存型のコンテンツを管理できるシステムを導入する必要があります。 そして、コンテンツはこれらのチャネルに配信可能なだけでなく、今後発生する新しい接点にも対応可能な拡張性を備えていることが重要です。 コンテンツを拡張できない場合、組織にとって大きな負担となります。
コンテンツ管理の不備で起こる真の損失は大きすぎるため、無視することはできません。 コンテンツ管理の不備は、組織全体、収益、企業が顧客に提供する全体的なエクスペリエンスに影響を及ぼします。
幸い、データのサイロ化を避け、コンテンツの場所を把握することはそれほど複雑ではありません。 効果的なコンテンツ管理のカギは、コンテンツハブとして機能するシステムを導入することです。
コンテンツハブはコンテンツを作成、格納、管理、取得するためのプロセスを合理化します。 コンテンツをキーワードやカテゴリでタグ付けできる機能を搭載したソフトウェアを選ぶことが重要です。 社員や自動化されたシステムが検索機能やフィルタでコンテンツを迅速かつ効果的に取得できるようにするには、コンテンツのタグ付けがカギですが、
この作業を手動で行うのは時間がかかり大変なプロセスとなります。 そのため、Sitecoreのようなシステムには自動タグ付け機能 が搭載されており、企業がコンテンツ管理を合理化できるようになります。 メタデータと編集ポータルを使用してコンテンツを調達することで、コンテンツマネージャーは状況に応じたコンテンツを見つけることができます。
コンテンツ危機に陥っているのは他の企業も同じです。 現代の顧客の期待に応えるよう、コンテンツの作成プロセスを加速化させるには、実用ガイド「コンテンツ危機の解決法」を ご覧ください。
ホゼ・サンタアナはサイトコア製品マーケティング部門のディレクター です。 LinkedInでフォローする