目次
クイックインサイト
貴社のパーソナライズが期待通りではなくても、貴社がパーソナライズをまだ始めていない47%のブランドであっても、小さな規模から始めて最も重要なオーディエンスに焦点を当てましょう。
第1章
パーソナライズが失敗する原因とは?
顧客の信頼とブランドロイヤリティを高めたい現代のビジネスにとってパーソナライズは不可欠です。 もっと多くの会社がパーソナライズを実施し、そのメリットを楽しまないのはなぜでしょうか? それは、パーソナライズの障害となる面倒な問題があるからです。
リソース不足(技術面、金融面、人員、時間)、プロセス不足、顧客のやり取りデータやマーケティングROIの理解が複雑なことから、調査したブランドのうちの半数がコンテンツをパーソナライズしていないことも驚く結果ではありません。
パーソナライズに投資しているブランドでも以下の数字*がパーソナライズの課題を物語っています。
- 59%のブランドが顧客の古い情報を使用している
- 57%の顧客の個人情報が間違っている
- 36%のブランドが顧客の以前の購入履歴またはやり取りの記録を維持していない
- 54%のブランドが1回のやり取りまたは購入を基に推測している
- 54%のブランドがパーソナライズのメッセージを送り過ぎている
* サイトコアおよびVanson Bourneによる調査、2017年
パーソナライズが有効であることは明確ですが、パーソナライズを始める前に効果的な戦略を計画することで万全の状態で開始し、オーディエンスを遠ざけてしまうリスクを回避できます。
64%の組織がデータを収集していない、またはサイロ化されたシステムにデータを保管しているため、一貫性のあるエクスペリエンスを顧客に演出できないでいます。
第2章
セグメンテーションから個別化まで
セグメンテーションとは共有されている特長や行動に基づいて、顧客を組み単位にグループ化するプロセスです。 セグメンテーションにより、類似した顧客に演出するコンテンツをカスタマイズしやすくなるため、パーソナライズがより簡単になります。 単一変数の顧客セグメントの例は性別、年齢または場所に基づいています。
セグメンテーションは開始点として動作しますが、これらの単一特性よりも、完全に個別化されたパーソナライズを演出できる顧客情報がたくさん含まれています。
多変数の顧客セグメント
多変数の顧客セグメントは、単一ではなく共通する特性または行動の組み単位で顧客をグループ化します。 顧客の例:
- 日本出身
- 以前に取引したことがない
- ヘッドホンの製品カテゴリに興味がある
- 25~30歳の女性
これはより多くのインサイトを明確に提供しているため、単一変数のセグメントよりも深いパーソナライズを演出できますが、まだ大量の一般化に依存しているため、回答の得られていない質問が残ったままです。 このセグメントのオーディエンスは本当に全員同じでしょうか? これらのオーディエンスが求めるものやニーズは異なりますか? これらのオーディエンスが貴社のWebサイトにアクセスした動機や緊急度は全員同じですか?
個別化
高度な形式のパーソナライズです。顧客データを細かく掘り下げると、完全に個別化されたエクスペリエンスを顧客一人ひとりに演出できます。 つまり、訪問者について学習したすべての情報を活用します。これには、Webサイトに訪問したデバイス、訪問時刻、訪問理由などが含まれます。
各顧客の個人的な動機を理解してコンテンツをカスタマイズし、適時に配信すれば、ブランドは重要な競争優位を得ることができます。
第3章
パーソナライズの修復: 成功への3つのステップ
パーソナライズの最適化を始めるにあたり圧倒されたり意欲をなくしたりするのではなく、好機としてとらえましょう。 改善の最初のステップは作業が必要な部分を認識することです。認識するだけでもうパーソナライズの道を歩き始めているのです。 おめでとうございます! 歩みをさらに進める方法をご紹介します。
ステップ1: テストして学習する
コンテンツのテストは、効果的なデータと効果的でないデータを収集し始めるための良い方法です。 収集データから得られるアナリティクスはあなたに次の行動を指示する魔法の方程式ではありません。アナリティクスを活用して、パフォーマンスが最も高いコンテンツや、そのコンテンツが効果的だったセグメントに関するインサイトを入手できます。 影響を測定することにより当て推量をせずに、パーソナライズ戦略を進めるうえで微調整するための材料として活用できます。
ステップ2: 小さな規模から始める
パーソナライズを最適化する道のりでは、疾走(Run)する前に歩く(Walk)こと、さらには歩く前にハイハイ(Crawl)することが賢明だと言えます。 すべて一度に行って一晩だけのパーソナライズブームを作るのではなく、小さな規模から始めて徐々に改善を図ることが現実的です。 また、小さなウィンを累積していくと、戦略やコンテンツを微調整するためのインサイトを得ることもできます。
1つのペルソナを対象とすることから始めましょう。 組織にとって最も価値の高いペルソナを支持するためのデータがある場合は、そのペルソナのみを対象にします。 価値が高い顧客のエクスペリエンスを向上させると、よりよい結果がより早く表れます。
ホームページのヒーローバナーやeコマースアプリの会計ページのような特定の要素に焦点を合わせるようにします。 焦点を1つに絞り込むと結果から簡単に測定、分析、学習できるようになります。
その後、デフォルトのコンテンツに対してパーソナライズしたコンテンツのパフォーマンスをテストし、 パーソナライズへの取り組みで得たROIを提示することで、社内の利害関係者からの同意が得られます。
ステップ3: カスタマージャーニーを考慮する
ツールを持つことは素晴らしいことですが、最適な使い方をマスターする必要があります。 カスタマージャーニーと顧客がブランドとのやり取りで歩むステップを考慮してください。 このようなインサイトは、パーソナライズをより戦略的に計画するうえで役立ちます。また、ジャーニーの過程で顧客をガイドするための要因として使用できます。
パーソナライズの簡単な開始方法は、訪問者がどのようにして貴社を見つけ出したかを分析することです。 貴社が検索エンジンのキーワード検索向けにキャンペーンを実施すると仮定します。 訪問者が貴社のリンクをクリックすると、検索に関連するコンテンツを表示したパーソナライズされたページにダイレクトされますか? 訪問者について知っている情報をもとに、そのページから訪問者をどのようにガイドしますか?
表示されている情報に関連性がない場合、訪問者は躊躇せずに「戻る」ボタンをクリックしてしまいます。
第4章
関連性についてのルールに留意する
パーソナライズできるからと言って、常にパーソナライズすべきだと言う訳ではありません。 パーソナライズ過多になる前に、貴社の取り組みの関連性が高く、顧客志向であることを確認し、 顧客を不快にさせないよう注意してください。
また、法律面で考慮すべき事柄もあります。 EU一般データ保護規則(GDPR)は欧州連合居住者のデータ保護を目的としており、データ管理者が保管/使用する個人データの権限は居住者にあると定められています。
Webページバナーに顧客の名前を表示したり、数か月前に閲覧したコンテンツに基づいて情報を表示したりするような パーソナライズは顧客の購入意欲を削いだり、顧客を失うきっかけとなったりします。最悪の場合にはGDPRの違反と見なされることもあります。
パーソナライズのパワーは、ブランドがデータを使用して顧客一人ひとりに合ったエクスペリエンスを演出する機会として活用する必要があります。