第1章

クラウドでコンテンツを管理

インフラのニーズに対応するだけでなく、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)を実行するために、クラウドを検討する企業がますます増えています。このような状況において、マーケティング担当者、ビジネスオーナー、ストラテジストは、今日のクラウドで利用可能なさまざまなサービス、定義、オファーからメリットを得ることができます。

本記事では、クラウド型コンテンツ管理について、今日の多岐にわたるクラウド製品の観点から考察し、この有用なテクノロジーを定義し、そのメリットを説明し、クラウドテクノロジーの総所有コスト(TCO)を決定するための重要な質問を、特にマーケティングテクノロジーの観点から取り上げます。

第2章

クラウドサービス:IaaS vs. PaaS vs. SaaS

IaaS

クラウドコンピューティングの最も基本的な形式である サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)から始めましょう。IaaSモデルでは、処理、ストレージ、ネットワーキング、その他のハードウェアなどのITインフラをサブスクリプションサービスとして提供します。ユーザーはこのクラウドインフラ上にオペレーティングシステム、アプリケーション、他のソフトウェアを展開して実行し、リモートでアクセスすることができます。

IaaSサブスクリプションのコストは、リソースの割り当てと消費量により異なります。最大のメリットは?物理インフラへの投資、保守、保護を行う必要がないことです。

 

PaaS

クラウドコンピューティングの次のステップは、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)です。IaaSはサーバー、ストレージシステム、ネットワークを提供しますが、PaaSはこれらに加えて、オペレーティングシステムとデータベースを提供します。

つまり、PaaSベンダーはデベロッパーがアプリケーションを作成して展開できるフレームワークを提供しています。PaaSモデルでは、サードパーティのクラウドプロバイダーがインフラのすべての側面を管理し、組織のデベロッパーがアプリケーションを管理します。

 

SaaS

サービスとしてのソフトウェア(SaaS)は、次のレベルのクラウドコンピューティングです 。SaaSはクラウド内に存在するソフトウェアで、通常はインターネット経由で、場合によっては仮想プライベートネットワーク(VPN)経由で、リモートからアクセスされます。

SaaSベンダーはソフトウェアの保守、ホスティングの処理、サポートの問い合わせ対応を月額料金または年額料金で提供します。SaaSモデルの先駆けとなった企業の1つは、弊社のパートナーであるSalesforceです。Salesforceに精通していなくても、 SaaSベースの製品やブランドサービスはご存知の場合もあると思います。

Spotifyのサブスクリプションを考えてみてください。料金を支払うと、Spotifyはあなたの好きな音楽やポッドキャストへのアクセスをどこでも提供します。厳密に言うと、SpotifyはB2Bモデルではないため、真のSaaSではありません。しかし、どの点からみても同じことです。SaaSの他の例としては、Slack、Dropbox、Grammarly、Gmailがあります。

 

第3章

クラウドCMSとサービスとしてのコンテンツ(CaaS)

クラウド型コンテンツ管理システム(CMS)は、SaaSの特定のバージョンであるサービスとしてのコンテンツ(CaaS)と呼ぶことができます。クラウドコンテンツ管理ソリューションは、従来のエンタープライズコンテンツ管理(ECM)分野から進化してきました。端的に述べると、クラウドCMS(またはCaaS)システムとは、クラウド上に未加工コンテンツを保存するヘッドレスコンテンツ管理システムを指します。 

未加工とは、HTMLやテンプレートを含まない最も基本的な形式のコンテンツを意味し、コンテンツの構成要素として設計されており、さまざまなレイアウトでつなぎ合わせ、多数のエンドポイントで利用できるモジュール式コンテンツです。プラットフォームはアプリケーションプログラムインターフェース(API)を使用して、この未加工コンテンツをさまざまな消費者(マーケティング用語ではデバイスまたはチャネル)に送信(または呼び出された時にコンテンツを配信)し、そこでレンダリングしてエンドユーザーがアクセスできるようにします。

クラウドCMSとして分類するには、プラットフォームに以下の主要機能が必要になります。

  • クラウド
    当然のことながら、クラウドCMSにはクラウドが必要です。また、拡張性、コスト削減、セキュリティ、帯域幅の増加、社内ITチームの負荷軽減など、付随するすべてのメリットを提供します。
  • オブジェクトベースのコンテンツ構造
    CMSでは、コンテンツをブロックまたはオブジェクト(前述の未加工コンテンツ)として保存できます。ブロックストレージの例として挙げられるのは、DrupalのようにWebページ全体を保存するCMSです。対照的に、SitecoreなどのオブジェクトベースのCMSは、同じWebページをオブジェクトとして保存します。あるオブジェクトはヘッダー画像、別のオブジェクトはH2のコピー、別のオブジェクトは本文のコピーというようにです。今日のオムニチャネルの世界では、この点が極めて重要です。オブジェクトベースのストレージにより、クロスチャネル配信が大幅に円滑になります。
  • ヘッドレスアーキテクチャ
    通常、CMSアーキテクチャはバックエンドとフロントエンドに分けることができます(詳細はこちらをご覧ください)。バックエンドがコンテンツを管理し、 フロントエンドがそのコンテンツを表示します。多くの従来のCMSでは、これらの2つのレイヤーは結合されています。Sitecoreではこれらを常に分離しており、この先見の明が功を奏しています。インターネットへのアクセスに使用されるデバイスの種類が急増し、デベロッパーやコンテンツ制作者は分離されたアプローチをますます支持しています。
  • 非依存型のプレゼンテーション
    分離されたアプローチが好まれる主な理由は、 その自由さにあります。チームがバックエンドでコンテンツの保存や配信を行うと同時に、コンテンツがアクセスされるさまざまなデバイスが、コンテンツの表示方法を決定できるようにすることができます。つまり、WebページでもAmazon Alexaデバイスでも同じコンテンツが表示できるのです。 

コンテンツ構造がここで再び関わってきます。Alexaはバナー画像を好みません。見出し、小見出し、本文のコピーのみを求めています。貴社のコンテンツが(オブジェクトとしてではなく)ページ全体として保存されている場合、Alexaに対応するまったく新しいバージョンを作成する必要があります。

デベロッパーとマーケティング担当者の両者がクラウド型コンテンツ管理を好む理由はもうお分かりでしょう。しかし、そのメリットをもう少し掘り下げてみましょう。

 

第4章

クラウドコンテンツ管理のメリット

まず初めに、バックエンドデベロッパーはフロントエンドと同時に作業を進めることができます。フロントエンドでは、ユーザーインターフェース(UI)デベロッパーは好みのAPIを手に入れ、モバイルアプリデベロッパーは使いやすいコンテンツを手に入れることができます。そして最終的に、マーケティング担当者は各チャネル向けにコンテンツを再作成することなく、チャネル全体でコンテンツを配信できます。 

バックエンドとフロントエンドを分離するもう1つの大きなメリットは将来性です。将来的にどのようなチャネルが出現しても、マーケティング担当者にはコンテンツを配信する準備が整っています。

クラウド型コンテンツ管理システムの機能には、次のような多くのメリットがあります。

  • 拡張性:クラウド型CMSは、組織のニーズに合わせて簡単に拡張できます。ハードウェアの制限を気にすることなく、必要に応じてリソースを追加または削除できます。
  • アクセシビリティ:クラウド型CMSは世界のどこからでもアクセスでき、インターネット接続がある限り、チームはリアルタイムで共同作業を行うことができます。これにより、リモートでのドキュメント管理とコンテンツ作成が可能になり、生産性が向上します。 
  • 自動化:自動化されたデジタルワークフローで、ビジネスプロセスを効率化し、コンプライアンスを簡素化できます。
  • コスト削減:クラウド型CMSにより、高額なハードウェア、ソフトウェアライセンス、システムを保守するITスタッフが不要になります。必要なときに必要なリソースにのみ料金を支払えばよいのです。
  • セキュリティ:通常、クラウド型CMSプロバイダーはお客様のデータを保護するために広範なセキュリティ対策を設けています。これには、アクセス権限、暗号化、データバックアップ、多要素認証があります。さらに、クラウドコンテンツ管理システムのセキュリティはリアルタイムで継続的に更新され、アップグレードやパッチは利用可能になるとすぐに実装されます。
  • 簡単な更新・保守:クラウド型CMSプロバイダーがソフトウェアの更新と保守を行うため、システムを常に最新の状態に維持できます。
  • 統合エコシステム:クラウド型CMSは、ERPやCRM、メールマーケティング、ソーシャルメディアプラットフォームなどの他のクラウド型ビジネスアプリケーションと簡単に統合できます。
  • 柔軟性:クラウド型CMS は、組織固有のニーズに合わせてカスタマイズできます。必要に応じて機能を簡単に追加または削除できます。また、需要の変化に合わせてシステムの規模を拡大縮小できます。
  • 顧客体験の強化:CMSにより、企業は複数のチャネルで関連性が高くパーソナライズされた一貫性のあるコンテンツを提供できるようになり、より満足度の高い、魅力的な顧客体験を実現できます。

これらのメリットは、市場投入時間の短縮、オンデマンドでのスケーリング、安心できるインフラ管理、リスクの軽減、イノベーションの簡素化、効率的かつ効果的なオムニチャネル配信とデータ取得につながります。

Sitecore XM Cloudは、SitecoreのクラウドネイティブCMSで、クラウドデジタルトランスフォーメーションのメリットを活用しながら、使いやすいビジュアルツールでマーケティング担当者にシンプルさを提供します。ブランドは関連性を維持し、パーソナライズされたデジタル体験を演出できます。

第5章

総所有コスト

総所有コスト(TCO)に関しては、いくつかの要素を考慮することが重要です。
第一に、初期費用とサブスクリプション料金、それに含まれる内容を明確にする必要があります。ホスティング、スケーリング、セキュリティ、展開のコストについて、プロバイダーに問い合わせてみてください。 

たとえば、SSL証明書は提供されますか?1か月に含まれるページビューは?eコマースビジネスの場合はブラックフライデーなど、トラフィック量が多い時期の料金は?

また、ソリューションプロバイダーやそのイネーブルメントパートナー、さらに現在の顧客(貴社が顧客を獲得できると仮定した場合)とも、初期費用について話し合うとよいでしょう。これは、チームの立ち上げと運用に必要な準備となります。

次に、更新について検討します。Sitecore XM CloudやSitecore Content Hub ONEのように、多くのクラウド型ソリューションは自動的に更新されます。チームによる更新作業を最小限に抑えながら最新バージョンを提供するこの利便性は、多くのソリューションにとって理想的ですが、ブランドにとって常に最良の選択肢であるとは限りません。 これは、企業のデジタル成熟度、ITチームの規模、嗜好によって異なります。ニーズに最適なオプションが何であれ、貴社が新しいバージョンを実装するにあたり必要なものを明確化することが大切です。

GDPRやカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などのデータ保護法により、企業は顧客データのセキュリティとコンプライアンスを維持することがますます必要になっています。クラウドCMSは、コンテンツとデータポリシーのローカライズを実現し、これらのニーズを合理化します。検討中のクラウドコンテンツ管理プラットフォームのセキュリティとデータオプションを必ずご確認ください。

 

第6章

最適な展開オプションの選択

組織によってニーズは異なります。これはソフトウェアと同様、展開オプションにも当てはまります。Sitecoreはクラウド型コンテンツ管理ツールを提供しており、ビジネスプロセスを最適化するためにオンプレミスおよびマネージドクラウドオプションを引き続きサポートします。 

Sitecoreの展開オプションについて、詳しくはこちらをご覧ください。