第1章

ヘッドレスCMSとは?(縮約版)

ヘッドレスCMSアーキテクチャは、バックエンドのコンテンツ機能(作成、管理、保存など)とフロントエンド機能(表示、配信など)に分かれています。

専門的な話に入る前に、ブランドエクスペリエンスの文脈ではこれが何を意味するのかを見ていきましょう。

ヘッドレスアーキテクチャは、Webコンテンツとコンテンツ作成の関係性の進化に対応したものでもあります。長い間、ほとんどのWebコンテンツはWebページとしてブラウザ経由で配信されていました。しかし、新しいコネクテッドデバイスが次々と登場し、オーディエンスはスマートデバイス、ウェアラブル、AI対応音声アシスタント、バーチャルリアリティ(VR)ヘッドセットなど、さまざまなユーザーインターフェースを通じてコンテンツを消費しています。

ヘッドレスCMSアーキテクチャは新たなコンテンツ課題に対応するための基盤です。つまり、オーディエンスが求めるコンテンツを簡単に作成して管理し、関連するすべてのタッチポイントにコンテンツを配信するオムニチャネルアプローチを採用できるのです。

第2章

CMSアーキテクチャの基本:ヘッドレス、デカップルド、APIファースト

ヘッドレスCMS:フロントエンドとバックエンドの比較

従来のモノリシックなコンテンツ管理システムは二つの部分で構成されています。ひとつはフロントエンド、もうひとつはバックエンドです。

大まかに言うと、CMSのバックエンドはコンテンツが管理される部分で、フロントエンドはコンテンツが表示される部分です。店舗のウィンドウディスプレイのようなものとお考えください。

フロントエンドの仕事には、通りから覗き込んだときに見えるもの、つまり商品の品揃えや配置、ブランディングが挙げられます。

バックエンドの仕事には、看板の作成、在庫の保管、店舗での商品の移動管理などの物流部分が該当します。

基本的なWebサイトの場合、バックエンドは以下で構成されています。

  • コンテンツを作成するためのシンプルなインターフェース
  • デジタルアセットを格納するためのデータベース
  • デザインのフレームワークを作成・適用するためのアプリケーションレイヤー

そしてフロントエンドでは、コンテンツや保存されているアセット、デザインを取得し、HTMLページに公開します。

デカップルドCMSとは?

従来のCMSでは、プレゼンテーションレイヤーとも呼ばれるフロントエンドのプレゼンテーションとバックエンドがしっかりと一体化していました。ユーザーはすべてのコンテンツを単一のインターフェース内で作成、格納、管理、公開できました。

技術に詳しくないユーザーやWordPressブログなどのシンプルなコンテンツを公開するコンテンツ編集者にとって、これは素晴らしくシームレスな設定でした。

しかし、デジタルエクスペリエンスとeコマースが進化し続ける中、デベロッパーはエクスペリエンスを最適化し、デバイス全体でより洗練されたコンテンツを配信するために、カスタムの回避策の作成に多くの時間を費やしています。

デカップルドCMSはバックエンドとフロントエンドのタスクを分離します。つまり、デベロッパーはバックエンド技術に縛られることなく、好みの言語でフロントエンドエクスペリエンスをすばやくコーディングしたりデザインしたりできます。

代わりに、RESTful APIやGraphQL APIを使用して、コンテンツの保存や管理といったバックエンド機能を、フロントエンドの配信環境と接続することも可能です。

APIファーストCMSとは?

デカップルドCMSはバックエンドとフロントエンドの機能を分離していますが、ページテンプレートやモジュール統合のようなフロントエンド配信ツールが含まれている場合が多くあります。

APIファーストのCMSは、デフォルトのフロントエンドがないという点で、機能的にはヘッドレスCMSと同じです。デベロッパーは配信レイヤーを好みの言語で必要に応じて好きなだけ作成し、コンテンツを想像できるあらゆる新しいチャネルにプッシュできます。

APIファーストのCMSは、準備が出来ている経験豊富なデベロッパーチームに最適です。このCMSはコンテンツを管理し、開発チームが構築したフロントエンド配信レイヤーからのAPI呼び出しを待ちます。

一方、デカップルドCMSは、フロントエンドとバックエンドを分離する柔軟性を必要としながらも、公開において何らかのサポートが必要な企業に適しています。

第3章

ヘッドレスCMSは何に(誰に)役立つのか?

ヘッドレスCMSは、間違いなくコンテンツ管理の未来です。それには重要な理由が二つあります。

  1. 第一に、デジタルコンテンツはより洗練され、ユーザーの期待もそれにともない高まっていることです。目立つためには、美しく、即応性の高いインタラクティブなコンテンツを構築し、しかもそれを迅速に提供できなくてはなりません。
  2. 第二に、新しいチャネルやユーザーデバイスがつねに出現し続けていることです。美しいコンテンツをただ作るだけではなく、それをあらゆる場所に、可能な限り効率的に配信する必要があります。SaaSベースのヘッドレスCMSにより、マーケティング担当者とデベロッパーは優れたコンテンツをすぐに構築できるようになりました。さらに、将来を見据えたコンテンツ運用を行い、Webサイトやモバイルアプリ、関連するあらゆるタッチポイントで一貫して優れたコンテンツを提供することができます。

ヘッドレスCMSで構造化コンテンツとコンテンツモデリングを採用することで、ブランドはコンテンツ運用を改善し、顧客により優れたユーザー体験を提供することができます。

マーケティング担当者に最適な理由...

…マーケティング担当者がコンテンツを一度作成すれば、デベロッパーはそれをどこにでも表示できます。つまり、管理作業に時間がかからなくなり、より密接な「個客」体験の構築に時間をかけられるようになります。

コンテンツの再利用が可能になることで、一元化されたコンテンツのハブにより、コピー&ペーストなどの手作業が不要になります。マーケティング担当者やコンテンツ作成者も、一度編集すればどこでも更新を共有できます。

ユーザーに最適な理由...

…ユーザーエクスペリエンスは常に高速で、一貫性があり、即応性があります。これは、クライアント側がバックエンドシステムと通信する必要がなく、コンテンツをレンダリングするだけでよいからです。

デベロッパーに最適な理由…

…専門知識のないプログラミング言語によるバックエンドの制約から解放されます。代わりに、デベロッパーは使い慣れたツール(例:JavaScriptライブラリやフレームワーク)を使用してユーザーエクスペリエンスの外観、操作、機能を構築し、最新のAPIを活用してコンテンツをどこへでも公開できます。

デベロッパーは好みのフロントエンドフレームワークを柔軟に選択できます。また、静的サイトジェネレーターには、Next.js、Gatsby.js、NUXT.jsなど、さまざまなオプションが用意されています。オープンソースのヘッドレスCMSでは、デベロッパーはコード(JavaScript、PHP)にアクセスして、独自のAPI呼び出しとテンプレートを作成できます。

第4章

ヘッドレスCMSの短所とは?

既製のヘッドレスコンテンツ管理システムは、すべてのコンテンツの課題を解決する特効薬ではありません。入念に考慮すべき点が二つあります。

一つ目は、コンテンツレポジトリから柔軟性が得られますが、代わりにアクセシビリティが損なわれる点です。プレゼンテーションはJavaScriptを書くデベロッパーに任されるため、技術的な知識のないマーケティング担当者はWYSIWYG(ウィジウィグ:What You See Is What You Get)によるオーサリングや編集ができません。

二つ目はより大きな問題です。

CMSのヘッドを切り離すと、 顧客とのやり取りに関するデータをフロントエンドとバックエンド間でリアルタイムに送信する機能が失われるのです。

つまり、エクスペリエンスのパーソナライズや、コンテンツ分析ができなくなってしまいます。

パーソナライズは「あれば役立つもの」から「必要不可欠なもの」になりました。顧客はアマゾンやNetflix、Spotifyのような業界リーダーのパーソナライズがどれほど優れているか身を持って実感しています。

同様のエクスペリエンスを演出できていないと、顧客は別のサービスへとすぐに移ってしまいます。それでは、何が正解なのでしょうか?

第5章

ハイブリッドヘッドレスCMSの導入

理想的なCMSアーキテクチャは、ヘッドレスCMSプラットフォームの柔軟性と拡張性に、従来のカップルドCMSが提供するパーソナライズ機能とコンテンツ分析機能を組み合わせたものです。

これこそがSitecoreのコンポーザブルなヘッドレス配信オプションが提供するものです。

複数のヘッドレスオプションで、あらゆるデバイスやブラウザーでコンテンツをレンダリングするソリューションやアプリを構築するフロントエンドデベロッパーをサポートします。Vue.js、React.js、Angular.jsなどのJavaScriptライブラリを使用する場合でも、新しいASP.NET Core SDKやヘッドレスレンダリングホストアーキテクチャを使用する場合でも、デベロッパーは最適なものを選ぶことができます。

これらのオプションには、Sitecoreのコンテクストコンテンツ配信サーバーに接続するAPIも搭載されているため、ユーザーはプロファイル情報、過去のやり取りなどに基づいてパーソナライズされたコンテンツをよりリアルタイムで閲覧できます。